小児近視抑制
“強度近視(眼鏡の強さがマイナス6D以上)で緑内障と診断された、子供は10歳でマイナス4Dの近視で、進行している。子供さんに眼鏡だけ処方しても近視は止められない。“
“スポーツで眼鏡使用を禁止とコーチから言われた”
このようなうたい文句で手術も含めた、近視矯正治療をすすめる広告があります。
クマノミドー眼科では今のエビデンスとコストパフォーマンスに沿った説明を進めています。
近視進行抑制の目的
近視進行を50%抑制すると強度近視の発症を90%抑制できる。黄斑変性症の有病率を40%減らせるとされています。20歳以上では手術で見かけ上の近視は減らせるが、近視に伴う合併症は治せません。
■近視抑制の治療法
1:オルソケラトロジー2:多焦点ソフトコンタクトレンズ(日本未承認レンズ)
3:非球面ソフトコンタクトレンズ(ボシュロム・クーパービジョン・アルコン)
4:低濃度アトロピン点眼
5:特殊眼鏡(処方が難しい)
6:サプリメント(小学生対象にした近視抑制効果が認められた論文あり)
この中で、一番エビデンスがあるのが、オルソケラトロジーと低濃度アトロピン点眼(1日夜1回)の併用です。
低濃度アトロピン単独でも近視抑制効果が認められています。
低濃度アトロピンには0.01%、0.025%の2種類があり、 0.025%の方が効果的との報告がありますが、まぶしさを感じやすくなる場合があります。
0.01% |
¥2,500(税込) |
---|---|
0.025% |
¥3,300(税込) |
オルソケラトロジー近視抑制のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
研究 | 世界:2004年から 日本:2011年から |
|
治療効果 | 眼鏡やソフトコンタクト レンズより効果あり |
|
治療適応 | 近視度数がマイナス4D 乱視度数マイナス1.5Dまでが妥当 日本未承認レンズでは強度近視・乱視でも可能な場合がある |
|
副作用 | 手入れを怠ると角膜感染症の危険 | |
長期成績 | 5年間で30%の抑制効果 | |
中止したら | 近視の進行は24歳までに安定化する確率は96% 中止後に近視進行することもある |
|
来院 | 最低でも3か月に一度の来院 | |
費用 自費診療 |
レンズ代金両眼10万程度、2,3年で再購入 毎回診察料2,000~5,000円程度 |
出典:平岡孝浩, 二宮さゆり:クリニックではじめる学童の近視抑制治療, 文光堂,2021年